「かすみはじめてたなびく」と読みます。
気温が少しずつ上がり始め、霞がたなびき始める頃と言われています。
春になると、冬の乾いた空気に比べて大気中に細かな水滴や塵が増えて、
遠くの景色がぼんやりとかすんで見えることがありますが、
こうした現象を「霞」と言います。
また「靆」は、「たなびく」と読み、
霞や雲が薄く長く層をなして、横に引くような形で空に漂う様子を表しており、
「棚引く」とも「棚曳く」とも書かれます。
春が近づくにつれて、乾燥していた空気にも少しずつ水分が含まれてきて、
景色も澄んだものから靄(もや)がかかったようになって、
「霞始靆」の季節に突入するという訳です。
昔の人は、
山々の裾野にうっすらと広がるこの「春霞」のことを、
春を司る神様「佐保姫」(さおひめ)が纏う、白く柔らかな着物の裾に例えました。
「佐保姫」(さおひめ)の名は春の季語となり、
現代でも和菓子の「春」をイメージする銘柄としても用いられています。
「佐保姫」(さおひめ)は、奈良の東にある佐保山や佐保川の女神で、
霞の衣を織り、柳の糸を染め、花を咲かせる女神と言われています。
『改正月令博物筌』(文化5年)には、
「春の造化の神なり。かたちあるにあらず、
天地の色をおりなすをかりに名づけたるなり」とあります。
「佐保姫」(さほひめ)は日本の春を司る女神です
佐保山は古くから桜の名所として知られ、
その佐保山には春を司る神霊が宿っていると考えられ、
そのことからも「佐保姫」(さほひめ)が信仰されるようになりました。
日本には、四季それぞれを司る女神様がいらっしゃいます。
春の「佐保姫」、夏の「筒姫」、秋の「竜田姫」、冬の「宇津田姫」です。
<四季を司る女神>
🌸 春 ― 佐保姫 (さほひめ)
🍸 夏 ― 筒姫 (つつひめ)
筒姫の「筒」は井戸から生じた名前。
筒姫とは、水の恵みを具現化した神様であると
伝えられています。
🍂 秋 ― 竜田姫 (たつたひめ)
☃ 冬 ― 宇津田姫 (うつたひめ)
春の女神「佐保姫」(さほひめ)は、
対を成すと考えられます。
佐保姫は春の野山を彩る女神、竜田姫は秋の草木を染める女神でm
女神として知られています。
同様に、佐保山の春霞は絹の薄衣をイメージさせる、「佐保姫」(さほひめ)もまた
織物が上手な女神であると考えられています。
佐保山の春霞は佐保姫が織り出す、と和歌にも謳われています。
なんて、雅な気分に浸ってもいられないんです!
実は、「霞始靆」の時期に見えるモヤモヤは、
霞だけではなくて、
PM2.5や花粉などが大量に舞っているためでもあるんです!
<PM2.5予測・黄砂予測>
地域によっては、
黄砂がモヤモヤを大きくしているとされているため、
「霞始靆」の時期には対策をしていく必要があります。
花粉症の私とあなたはアレルギー対策で薬などの準備を!